名護市消防本部(名護市大北3)が10月1日、民間救急業者と連携した転院搬送を開始する。
沖縄本島北部では、地域の医療機関で対応できない患者を中南部の病院へ運ぶ場合があるが、病院が所有する救急車だけでは対応しきれず、医療機関からの119番通報を受けて消防の救急車が出動することもあったという。
今後の転院搬送では、患者の容体が緊急ではないことを前提に、医師が民間救急車での搬送を可能と判断した場合、医療機関が民間救急業者の「フィルタス」(振慶名)に依頼。同社が振慶名から出動し、患者を別の医療機関へ転院搬送専用車で運ぶ。搬送時に赤色灯は使わない。消防の救急車が担ってきた転院搬送の一部を民間に委ね、緊急の救急要請に対応できる体制づくりにつなげる。2027年3月末までの実証事業。市が沖縄県北部連携促進特別振興事業費を活用する。
名護市消防本部統括指令係の仲松千尋さんによると、昨年度の同本部への救急要請は約4600件。このうち転院搬送は約500件で、全体の約11%を占めた。中南部への搬送は片道約1時間と移動時間が長く、その間、出動した救急車と隊員は地域を離れる。仲松さんは「救急車が地域を離れる時間や、その間を補う人員の負担は搬送件数だけでは把握しにくいが、救急出動に影響が出ていることは課題だった」と話す。
仲松さんは「転院搬送の割合が減ることが、より多くの地域の命を守ることにもつながる。医師会や地域の医療機関への連携を進め、搬送データの提供を受けながら運用方法を精査しながら進めたい」と話す。