ヤンバルクイナを取り巻く環境を考えるシンポジウム「ヤンバルクイナおかえり名護へ!世界自然遺産をミライへつなぐ」が10月5日、名護博物館(名護市大中)で開催された。
主催は、ヤンバルクイナの生態研究などを行う鳥類専門研究機関「山階鳥類研究所」(千葉県我孫子市)。昨年7月に名護市源河の山中でヤンバルクイナが初めて確認されたことを受け、名護市で初開催した。ヤンバルクイナは、天然記念物で絶滅危惧種に指定されている。
シンポジウムでは、山階鳥類研究所副所長の尾崎清明さんや南西環境研究所の中田勝士さん、沖縄県環境自然部自然保護課の宮平良成さん、環境省やんばる自然保護官事務所自然保護官の椎野風香さんらが登壇し、現在のヤンバルクイナを取り巻く環境や、ヤンバルクイナを捕食する危険のあるマングースへの対策や駆除方法などが伝えられた。
ディスカッションでは、マングース駆除がヤンバルクイナの個体数増加につながっていることや、生物の交通死亡事故・ロードキルへの取り組み、名護岳へのマングース対策などをテーマに意見が交わされ、「ヤンバルクイナの生息範囲を拡大しないと、将来の存続は難しい」との意見が発表された。
屋外では、マングースの糞を見つける探索犬によるデモンストレーションが行われた。南西環境研究所の中田さんは「名護市でマングース駆除を行うことも視野に入れているが、まずは国頭村・東村大宜味のやんばる3村での対策を徹底することが重要」と話す。
ファシリテーターを務めた屋我地島鳥獣保護区管理委員の渡久地豊さんは「このシンポジウムをきっかけに、名護市や本部方面も含めた広域でヤンバルクイナ保全活動のビジョンが持てると期待している。県民一人ひとりの理解や協力が不可欠。今後も定期的にシンポジウムを開きたい」と話す。